はじめに
今回は、Go言語の後方互換性に関する公式方針「Go Compatibility Promise」について、簡単に要約してみました。
よければ参考にしていただければと思います。
Go Compatibility Promise とは?
Go言語は、バージョン1(Go 1)がリリースされて以来、一貫して後方互換性を重視してきました。
将来的なバージョンアップ(Go 1.x)があっても、Go 1で書かれたプログラムが動き続けることを強く保証しています。
エコシステム全体の安定性を維持し、既存コードが無駄にならないようにするための方針になっているようです。
Go Compatibility Promiseとは、Go 1以降のすべてのバージョンにおいて、互換性を維持することを公式に約束したもので、これにより、古いバージョンで動作していたコードが、新しいバージョンでもそのまま動作することが期待できます。
公式ドキュメントでは、次のように述べられています:
- Go 1で動作する正当なプログラムは、将来のGo 1.xリリースでも動作し続けることを保証する。
- これにより、過去に作成したコードが動かなくなるリスクを極力排除している。
後方互換性が崩れるケース
とはいえ、いくつかのケースでは互換性が崩れることがあります。以下はその代表例です。
1. セキュリティ修正
セキュリティ上の問題が発覚した場合、互換性よりも安全性が優先されます。重大な脆弱性がある場合、修正によって動作が変わることがあります。
2. 未定義動作の修正
Goの挙動が明確に定義されていないケースでは、合理的な解釈に基づき修正されることがあります。これにより、古いコードの動作が変わる可能性があります。
3. バグ修正
バグが修正された結果、意図していなかった動作が正されるケースがあります。これも、古いコードに影響を及ぼす可能性があります。
4. unsafeパッケージの利用
公式ドキュメントでは、主に unsafe パッケージのリファレンス(もしくは最新の pkg.go.dev のページ)において、
「unsafe」という名前が示す通り、Go の型安全性やメモリアクセスの保証を回避する操作を提供しているため、通常のコードでは使用を避けるべき(=慎重に扱うべき)であるという趣旨の説明がなされています。
Package unsafe contains operations that step around the type safety of Go programs.
この記述は、unsafe パッケージの利用が型安全性の保証を逸脱する(=将来の変更に脆弱になる可能性がある)ことを示唆しており、一般的なアプリケーションコードでの利用は避けるべきであるという意図を含んでいます。
どうやって探す?
そうは言われてもなかなかに長いリリースノートを確認するのは疲れると思います。
以下のようなキーワードをもとにサイト内を検索すると効率的に確認したいものを逆引きできるかと思います。
- “backward compatibility”
- 直訳で「後方互換性」
- “breaking changes”
- 「破壊的変更」や「互換性の破壊」といった意味合い
- “compatibility”
- 互換性に関連する広い概念
- “deprecated”
- 非推奨の機能やパッケージに関する説明
- “removed”
- 削除された機能やパッケージに関する記載
- “changed”
- 「変更された」機能やインターフェースに関する記載
まとめ
Go Compatibility Promiseは、Go言語のエコシステムを守るための強力な約束ですが、セキュリティ修正やバグ対応など、やむを得ないケースでは互換性が崩れる可能性があります。
安全性や合理性が優先されるため、その点を理解して開発することが大切です。
リリースノートなどを確認し、自分の既存のソースにどのような影響があるかなどはこまめにみておくようにしましょう。
この記事がGo言語を学ぶ一助になれば幸いです。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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